2024.11.19(更新日: 2024.11.19)
測定情報部の適用範囲を誤ったプログラムの問題と解決策
はじめに
プログラムを設計・実装する中で、データ処理のロジックにおいて意図しない動作が発生する場合がある。今回直面した問題は、複数ファイルを扱う際に、それぞれのファイルごとの測定情報部を適切にデータ部へ付与する処理が正しく動作せず、誤ったデータが生成されるというものであった。テスト仕様書を自分で作成していて気がついた。
この記事では、問題の背景、原因、そして解決策について詳述する。同じような問題に直面している方にとって参考となれば幸いである。
問題の背景
本プログラムでは、以下のような処理を行う必要があった:
- 複数のファイルを読み込む。
- 各ファイルには「測定情報部」と「測定データ部」が含まれる。
- 測定情報部はファイルの先頭に固定行数で格納されている(例:最初の8行)。
- 測定データ部はそれ以降の行で構成される。
- 測定情報部を縦横変換してデータ部に繰り返し追加する。
- 測定情報部の内容は、一ファイルにつき一つで、データ部の各行に繰り返し付与される。
- すべてのファイルを処理して統合する。
- 最終的には、複数ファイルのデータを1つのデータフレームに結合し、データベースに格納する。
発生していた問題
一見すると単純な処理であるが、以下の問題が発生していた:
- 測定情報部が次のファイルにも適用されてしまう。
- 1つ目のファイルの測定情報部が、2つ目のファイルのデータ部にも付与されてしまうという誤動作が発生していた。
- 各ファイルの測定情報部は、そのファイル固有のデータ部にのみ付与されるべきである。
- データの一貫性が崩れる。
- 測定情報部が正しく付与されないため、後続処理に誤ったデータが渡され、結果の信頼性が損なわれていた。
原因の特定
問題の原因は以下の通りである:
- 測定情報部のスコープが不適切である。
- 測定情報部を処理する際、前のファイルの情報がリセットされていなかった。
- 測定情報部がグローバルに保持されてしまい、次のファイル処理で上書きされずに引き継がれていた。
- データ処理のロジックが不十分である。
- 各ファイルの測定情報部をローカルスコープで処理し、ファイル単位でリセットする仕組みが欠けていた。
解決策
- 測定情報部のリセットを保証
測定情報部が次のファイルに影響を与えないよう、各ファイルを処理する際にローカルスコープ内(ファイルごとに処理を行なっているfor文の中)で測定情報部を処理した。測定情報部は、ファイル単位で抽出し、そのデータ部にのみ繰り返し適用されるようにした。 - 測定データ部への繰り返し付与
データ部の行数に応じて測定情報部を繰り返し付与する際に、ファイルごとに特定の測定情報部が追加されるようにした
成果
- 測定情報部が各ファイルに正しく付与されるようになり、データの一貫性が保証された。
- データベースに正しいデータを登録できるようになり、処理結果の信頼性が向上した。
反省
- 測定情報部が意図せず引き継がれる問題は、プログラムのスコープ設計の甘さに起因していた。今後は、グローバルスコープとローカルスコープの使い分けに注意し、問題を未然に防ぐ設計を心がける。
まとめ
今回の問題を通して、データ処理のスコープ管理やファイル単位のデータ操作の重要性を再認識した。特に、データの一貫性を保つためには、ファイルごとの独立性を確保し、処理結果を正確に管理する必要がある。
同じような問題に直面している方は、ロジックを明確に分離し、データの流れを可視化することを試してほしい。問題の原因が見えてくるはずである。
Visual Studio Codeで、Pythonのデバッグ機能を使い、デバッグコンソールで変数の中身を確認したり、loggerのwrite_logで、データフレームを全行出力したりして、修正を進めていった。
デバッグコンソールでデータフレームの中身を確認しようとすると、省略記号が表示されたので、以下の方法で、省略記号が表示されないようにして、ログに出力した。
df.to_string() # 一時的に省略記号なしで表示
以上が今回の「測定情報部を正しく適用できなかった問題」の解決までのプロセスである。同じような課題に取り組む方の参考になれば幸いである。
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