STORY
会社を辞めて、 自分の人生を設計し直した100日間
2026年6月12日、会社を辞めた。
その4日後には、429円の案件を納品していた。
けれど、それで仕事や生活の見通しが立ったわけではない。
作ることに集中した6月。
応募へ踏み出した7月。
評価との距離を考え直した8月。
暮らしと仕事を、自分の言葉で設計し始めた9月。
これは、最初から決めていた計画の実行記録ではない。
そのとき書いた記事をたどり、迷いながら選び直した100日間を振り返る。
日付は各記事の公開日を基本とし、本文に出来事の日付が明記されている場合は区別して記載しています。引用は現在公開されている本文から抜粋し、振り返りの文章と分けています。
退職の直後、不安と小さな売上が並んでいた
2026.06.12
会社を離れ、すでにある技術をつなぐ
6月28日の「退職後の税金対応」には、退職日が6月12日だったと記している。その6月12日に公開した技術記事は、WordPressの記事をREST APIで取得し、自作のMy Portfolioへ同期する仕組みの解説だった。会社を離れた時点で、何もないところから始めたわけではない。過去に書いた記事や作ってきたものを、次の仕事へつなごうとしていた。
2026.06.14 — 06.15
発注者を意識する一方で、不安を書き出す
6月14日は「何を、どのくらいの期間で作れるのか」を示す営業ツールとしてポートフォリオを整えようとした。ところが翌15日には、理想の働き方を本当に実現できるのかという不安が出てくる。5分間呼吸に集中し、紙に「今、本当は何が不安か?」を書いた。前向きな制作と、足元の不安は同時にあった。
2026.06.16
429円の納品と、「整理と伝達」への気づき
クラウドワークスで、WordPressプラグインの使用感想を提出する案件を納品した。報酬は429円。提案から契約、納品、報酬発生までを経験した一方、ブログの余白やボタン位置の調整に時間を使いすぎたことも振り返っている。
ここで課題の捉え方が少し変わった。制作物や技術記事はすでにある。必要なのは、さらに数を増やすことだけでなく、相手に「何ができる人か」を伝えることだった。
不足しているのは量ではない。
2026-06-16|My Portfolio フェーズ2 〜資産の整理と商品化〜
給与明細の外に出て、生活の仕組みを調べる
2026.06.20
失業給付の手続きから調べ始める
6月20日の記事では、雇用保険の基本手当について、手元の書類とこれから行う手続きを整理した。この段階の記事にあるのは、制度の調査とハローワークへ行く予定であり、受給完了の報告ではない。会社が担っていた手続きを、一つずつ自分のタスクとして把握し始めていた。
2026.06.28
未完了の仕事と、これから払うお金を並べる
28日は、青春18きっぷアプリ、ポートフォリオ、案件管理アプリ、失業給付の手続きなど、未完了のものを列挙した。同じ日に、住民税・年金・健康保険などの支払いも整理している。技術の制作だけでなく、生活を維持するための仕事にも終わりを作る必要があった。
2026.07.02
納付書を待ち、年金の手続きを確認する
7月2日の住民税の記事には、納付書はまだ届いていないとある。同日の記事では国民年金の切り替え手順も整理した。「全部解決した」段階ではない。必要なもの、まだ届いていないもの、次に確認するものを分けるところから、生活の運用が始まっていた。
無収入を抜け出すには、完了主義へシフトしなければならない。
2026-06-28|無収入を抜け出すためには完了主義へシフトしなければならない ー 不安に対処することもできる ー
作り続けることに区切りをつけ、外へ出す
2026.07.08
ポートフォリオが、なかなか終わらない
7月8日は「やはり、ブログベースで積み上げる」と書き、ポートフォリオを営業資料として位置づけ直している。理想には近づいているが、データは膨大で無駄も多い。何を、どれくらいの時間をかけて作ったかを見せたいのに、整える作業そのものが終わらなくなっていた。
2026.07.14
Version 1の完成条件を決める
14日には「継続収入の再開を最優先にする」と方針を明文化した。ポートフォリオの完成は、過去のすべてを掲載することではない。実績が確認でき、主要なリンクが開き、内容が事実と一致し、応募時にURLを送れることを基準にした。
求職など収入の基盤に70%、将来の自由につながる活動に20%、既存制作物の保守に10%。これは達成済みの時間配分ではなく、この日に立てた行動方針だった。内側を整える時間から、応募や返信で外部の反応を得る時間へ、重心を移そうとしていた。
2026.07.15 — 07.16
計画に、外との約束と学習の結果が入る
15日の記録には、その日の雇用保険説明会と翌日のpaiza面談の予定が並ぶ。同日、Cランク問題を6分3秒・100点で解いたことも記事にした。7月4日に126分34秒かかった問題とは別問題なので、単純な速度比較ではない。それでも、練習の結果を具体的な数字で残すようになっていた。
16日には、この無職期間を「空白」ではなく準備期間として捉え直している。準備を否定して捨てるのではなく、準備したものを次の行動に使う段階へ進もうとしていた。
問題は、作業量ではなく、完成の基準がなかったことだった。
2026-07-14|お金の自由を取り戻すために、継続収入の再開を最優先にする
不採用を、自分全体への判決にしない
2026.07.24
働く場所を選ぶ基準を言葉にする
7月24日には、paizaのエージェントから支援を受け、企業とのカジュアル面談を予定していた。キャリアの軸として挙げたのは、前年より高い年収と、開発を担当できること。スカウトを受け取るだけでなく、相手が何を求めているのか確かめる機会として面談を見始めていた。
2026.08.05
コーディングテストで不採用になる
8月5日の記録には、最初に選考を受けた会社のコーディングテストが10問中3問で、不採用だったことが残っている。落ち込みも、自己否定の言葉もあった。その一方で、カジュアル面談を通過した事実や、次の面接に向けて準備することも書いている。結果を都合よく消すのではなく、できなかったことと自分全体の価値を切り分けようとしていた。
2026.08.10
面接を「合格する場」から「相性を見る場」へ
10日には、内定を取りにいくのではなく、これからのキャリアとのマッチングを探しにいくと書いた。基礎的な実装力の課題は認め、paizaの練習を続ける。同時に、一社の評価を市場全体の評価だと思わない。技術を高めることと、自分が消耗せず働ける環境を選ぶことを、両方の目標に置き直した。
企業が自分を見るように、自分も企業を見る。
2026-08-10|内定を取りにいくのではなく、これからのキャリアとのマッチングを探しにいく
動けた朝と眠れない夜、その両方を記録する
2026.08.16 — 08.19
生活習慣は、一度整えれば終わりではない
8月16日は、以前の職場近くの公園を歩き、カラオケや筋トレをしたこと、paizaのCランク問題を続けていることを記録した。18日には朝4時30分に自然に目覚め、外で作業をするとやるべきことが明確になったと書いている。
しかし翌19日は、夜に眠れず、起床が9時30分になった。前日うまくいったからといって、同じ状態が続くわけではない。飲み物や夜の過ごし方を振り返り、翌日の自分まで含めて選ぶという考えが出てきた。ここで残したいのは身体の仕組みについての断定ではなく、自分の状態を観察して次の行動を変えようとした過程だ。
2026.08.21
整えることを、面接の準備と結びつける
21日の面接当日は、職務経歴書を見直したうえで、音声対話による面接練習を予定に入れた。LINEの確認は面接後に回す。求人を見る軸はリモートと開発。気分を整えることと求職活動を別々に頑張るのではなく、面接へ向かえる順番を作ろうとしていた。
2026.09.08
旅から戻り、半径1mへ注意を戻す
9月8日は、青春18きっぷの旅と夜行バスで睡眠が不足し、旅程のトラブルにも揺さぶられたことを振り返っている。その日にできたことは、トレッドミル15分と、翌日の面接に向けた書類提出だった。遠くへ行く自由を楽しむ一方で、自分の身近な生活の質を落とさないことも必要だと気づいていった。
24時間後の自分を会議に参加させる
2026-08-19|眠れない夜から考えた「刺激との付き合い方」
暮らしの管理から、人生の進む向きへ
2026.09.10 — 09.11
お金の記録を、続けられる仕組みに直す
9月10日は、GoogleスプレッドシートとAIでお金の管理を見直した。レシート画像、支払い履歴のスクリーンショット、SuicaのPDFなどを使って入出金記録を入力したことも残している。考えるだけでなく、実際のデータを扱う段階に進んでいた。
翌11日は、入出金予定と記録を別シートにすると、完了するたびに手動で移す必要があると気づく。同じシートにまとめ、状態で区別する案を書いた。生活を管理する仕組み自体にも、手間を減らすための見直しが必要だった。
2026.09.14
不採用の具体的なフィードバックを、次の選択肢に変える
14日は、企業から届いた不採用理由を整理した。やりたいことやポジションとの不一致だけでなく、傾聴力・理解力という評価も受け取っている。8月の不採用の記録とは違い、今回は傷つくよりも、的を射ていると感じたと書いている。
過去のPython ETLの仕事を振り返り、「分からないものを、自分が理解できる単位まで分解する」ことを自分の仕事の進め方として捉え直した。Python・バックエンドだけでなく、技術を理解して文章にするテクニカルライターも、次の選択肢として見えてきた。
2026.09.14 夜
「自律型の技術クリエイター」という方向を決める
同日22時46分の記事では、今日やることを先に増やすのではなく、どこへ向かうか、1年で何を身につけるか、今週何を形にするか、という順で考え直した。Builder、Writer、Ownerは、この日に書いた今後育てたい三つの能力だ。すでに獲得した肩書きではない。
一日の戦略的な活動は、Deep Work、市場を見ること、整理の三本にする。生活の記録も、自分を分刻みで縛るためではなく、望む方向へ進むために使う。「管理する項目を増やす」ことから、「何のための管理か」を問い直すところへ変化していた。
自由を設計の前提にする。
2026-09-14|自律型の技術クリエイターとしての人生を開始する
大きな完成宣言より、次の小さな実践へ
2026.09.18
面倒な操作を、AIと作ったコードで減らす
9月18日は、Notebookの上限に達したことをきっかけに、ブラウザの削除操作をJavaScriptで自動化した。記事には192件のコンテンツ削除が記録されている。最初から一度で動いたわけではない。DOMを渡し、エラーや確認ボタンの動作を伝え、AIと修正を重ねた。
自分が困っていることを見つけ、コードにし、動かし、その過程を書く。14日に言葉にした方向が、日々の小さな実践につながる例として読める。
2026.09.19
100日目にも、Pythonの基本を確かめていた
退職日を1日目とすると、この日が100日目になる。9月19日の記事には、Pythonで3.14159を小数第2位まで丸め、3.14を得る短いコードがある。大きな成果報告だけが前進ではない。理解したいことを試し、記録する作業も続いていた。
6月は、何ができるのかを相手に伝えようとしていた。7月は、それを外へ出す基準を決めた。8月は、選考結果と自分の価値を分けようとした。9月は、生活も技術も仕事探しも、自分が向かいたい方向から組み直し始めた。
仕事と収入の問題がすべて解決した記録ではない。けれど、迷ったときに何を見て、何を試し、どう選び直すか。その手がかりは、100日前より具体的になっている。
AIとやりとりをしながら目的のツールを作成した。
2026-09-18|AIと共同制作したJavaScriptをConsoleに打ち込んで192件のコンテンツ削除を自動化した
100日経っても、
人生は完成していない。
でも、100日前とは少し違う。
不安を書き出した日がある。
429円の案件を納品した日がある。
不採用を受け止めた日がある。
眠れなかった翌朝に、過ごし方を見直した日がある。
自分で観察する。
自分で調べる。
自分で試す。
うまくいかなければ修正する。
そして、また進む。
人生を完成させた100日間ではない。
人生を、自分で設計し始めた100日間だった。